Rihanna|ポップとR&Bの女王に断られて輝いた名曲。"Umbrella"がリアーナの手に渡った舞台裏。
- R&B SOURCE
- 1月10日
- 読了時間: 3分
更新日:2月21日

元々はBritney Spearsの為に作られた"Umbrella"
Rihannaの人気を決定付けたと言っても過言ではない"Umbrella feat. Jay-Z"が残した功績は以下の通り。
全米シングル・チャート
7週連続1位
2007年ビルボード年間シングル・チャート
2位
第50回グラミー賞
「Best Rap/Sung Collaboration」受賞
Umbrella feat. Jay-Z
Rihanna
iTunes: https://apple.co/3misQw1
2000年代を代表するこの不滅のR&Bクラシック、、実は当初Britney Spearsに歌ってもらうことを想定して作られた楽曲だったとのこと。
この曲をプロデュースしたのは、この後にMariah Carey"Touch My Body"やBeyonce"Single Ladies (Put a Ring On It)"などを手掛けることになる、当時頭角を現し始めていた気鋭のプロデューサーTricky Stewart。
2007年1月、彼の呼びかけでスタジオに集まったのは、シンガー/ソングライターのThe-Dreamと、Tricky StewartのパートナーだったKuk Harrellの2人で、彼らは作業後わずか数時間で"Umbrella"のデモ音源を作り終えることに。

当時のBritney Spearsは、酔った勢いで幼馴染に電話で結婚を申し込んだり、出産した子供を膝の上に乗せて片手で車を運転する姿が目撃されたり、突然坊主姿になって登場したりと、プライベートでの奇行がとにかく目立ち、「問題児」としてのイメージが定着してしまった時期。
そんな状況を打破する為、画期的なヒット曲が必要だと考えたのがTricky StewartとThe-Dreamの2人で、彼らは2003年にBritney Spearsの"Me Against the Music"を手掛けていたことから、"Umbrella"のデモ音源をBritney Spearsのチームに送付。
この時、Britney Spearsは通算5枚目のスタジオ・アルバム『Blackout』の制作に着手していた時期で、しかしBritney Spears側はアルバム用の曲は十分に揃っていたことを理由に、"Umbrella"のオファーをスルー。
その後、Tricky StewartとThe-Dreamはいくつかのレーベルに"Umbrella"のデモ音源を送付していく中、この音源に食い付いたのが、当時[Island Def Jam]のCEOを務めていたL.A. Reid。

そして"Umbrella"のデモ音源が、当時[Def Jam]でその才能を開花させた若きR&BスターRihannaの元へと渡り、この曲を聴いたRihannaは「私にはこの曲が必要。明日にでもレコーディングをしたい」と絶賛。
これが2007年2月の初旬辺りで、その後Tricky StewartとThe-Dreamの元に「"Umbrella"はRihanna用の曲として残しておくように」との指示があり、しかし"Umbrella"のデモ音源をL.A. Reidに送付したのと同じタイミングで、Tricky StewartはMary J. Bligeの仲間に"Umbrella"のデモ音源を聴かせており、暫定的ながらMary J. Bligeにこの曲を提供することを約束してしまうことに。

忙しすぎて"Umbrella"をまともに聴けなかったMary J. Blige
「MTV」の記事に、「彼らは私の為に"Umbrella"をやってくれた」と語っているMary J. Blige。
しかし、当時のMary J. Bligeは2007年2月11日に開催された第49回グラミー賞にて、シングル"Be Without You"が2部門を受賞し、またアルバム『The Breakthrough』が「Best R&B Album」を受賞したことにより多忙を極めていた時期で、"Umbrella"のデモ音源をまともに聴ける状況ではなかったとのこと。
Be Without You
Mary J. Blige
iTunes: https://apple.co/3MfJVBz
とは言え、Mary J. Bligeは"Umbrella"のデモ音源をかなり気に入ったようで、結果的に自分ではこの曲を歌うことが出来なかったものの、Rihannaが歌ったことに関して次のようにコメント。
「彼女は本当に美しい女性、私は彼女を死ぬほど愛しているわ。この曲は私のお気に入りの1つよ」
ちなみに、「"Umbrella"をMary J. Bligeが歌うかもしれない」という情報を耳にしたRihannaのチームは気が気ではなかったようで、ストーカーのようにTricky Stewartに電話をかけ続け、Rihanna本人も「私の心臓は胸の中で止まった」と当時を回想。
また、Mary J. Bligeは当時アルバムの制作時期ではなかった為、彼女の関係者は「Mary J. Bligeに"Umbrella"を歌わせないという判断は、ビジネス上で賢明な判断だった」という見解。
"Umbrella"はMary J. Bligeの手からこそ離れてしまったものの、Tricky StewartとThe-Dreamは2007年10月にリリースされたMary J. Bligeのシングル"Just Fine"を手掛け、同シングルは第50回グラミー賞「Best Female R&B Vocal Performance」にノミネートされることに。
Just Fine
Mary J. Blige
iTunes: https://apple.co/3xl7g0k