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執筆者の写真R&B SOURCE編集部

New Edition|「ボーイズⅡメン」の由来となった"Boys to Men"にジョニー・ギルが本音。「何でこんなダサい曲を用意したんだ?」

更新日:9月16日


「Boyz Ⅱ Men」の由来となったNew Editonの"Boys to Men"

「Boyz Ⅱ Men」の由来となった"Boys to Men"


Elvis Presleyが保持していた記録を破り、全米シングル・チャート13週連続1位という、当時の新記録を達成した"End of the Road"。


そしてこの偉大な記録を破る、同チャート14週連続1位を記録した"I'll Make Love to You"。


さらにMariah Careyとの共演曲"One Sweet Day"で、同チャート脅威の16週連続1位という偉業を成し遂げたR&BグループBoyz Ⅱ Men。


End of the Road

Boyz Ⅱ Men

音楽史に輝く最も偉大な功績を残したボーカル・グループとして知られるBoyz Ⅱ Menですが、彼らのグループ名は、「第2のJackson 5」として'80年代に一時代を築いたR&BグループNew Editionの"Boys to Men"という曲がその由来。


この曲は、New Editionが'88年にリリースした通算5枚目のスタジオ・アルバム『Heart Break』に収録され、Janet Jacksonのアルバム『Control』を成功に導いたプロデューサー・デュオJam & Lewisが制作した楽曲。


Boys to Men

New Edition

『Heart Break』から最後にシングル・リリースされた"Boys to Men"は、当時のNew Editionが直面していた課題を克服する為に、Jam & Lewisが着手した1曲("Boys to Men"は『Heart Break』のリリースから3年後の'91年にシングルカットされ、この時すでにBoyz Ⅱ Menはデビュー済み)。


各メンバーが10代半ばという年齢だった'83年にNew Editionはデビューし、この頃は"Candy Girl"のような、若さを全面に出したキャッチーで愛くるしいスタイルが大受けしたものの、それから5年が経過した'88年、『Heart Break』をリリースする頃にはメンバーが成人を迎えようとしており、New Editionのスタイルに変革が求められていた時期。


そんな「少年から青年」へと成長する様を歌った曲こそ、Jam & Lewisが用意した"Boys to Men"であり、New Editionのライブでは定番の1曲となっている'80年代R&Bの名曲。


しかし、当初この曲に意外な反応を示したのが、『Heart Break』からNew Editionのメンバーに加入したJohnny Gillで、Johnny Gillは"Boys to Men"を初めて聴いた時に次のような反応をしたと、Jimmy Jamが「The Boombox」のインタビューにてコメント。

「何でこんなダサい曲を俺に用意したんだ?」


「Johnnyと契約したら、君達はプロデュースしてくれるんだね?」


New Editionは、結成当初は以下5人のメンバーでデビュー。


・Ricky Bell

・Michael Bivins

・Ronnie DeVoe

・Ralph Tresvant

・Bobby Brown


デビューから3枚目のアルバム『All For Love』まではこの5人で活動し、その後Bobby Brownがソロに転向する為グループを脱退し、'86年リリースの4枚目のアルバム『Under the Blue Moon』は、Bobby Brownを欠いた4人編成となったNew Edition。


Under the Blue Moon

New Edition

更にこの時期、Bobby Brownに次いでRalph Tresvantもソロ活動を行うという噂が浮上した為、New Editionは新たなリード・ボーカル候補を探すことに。


当時の様子を、Jimmy Jamが「Rap Rehab」のインタビューにて次のように回想。

「まぁ興味深い話なんですけどね。実は、Jheryl Busby(当時の[RCA Records]ブラック・ミュージック部門の副社長で、後に[Motown Records]のCEOを務める人物)とミーティングを行ない、彼は誰か良い男性アーティストと契約したがっていて、その男性アーティストが誰であるべきか、そしてもしその男性アーティストと契約した場合、私達がプロデュースするかどうかを話し合っていました。そのミーティングで、彼は良いと思っているアーティスト、また過小評価されている男性アーティストの名前をいくつか挙げました。その会話の中で、彼のリストから明らかに欠けている名前がありました。それで私達は『あなたが探している条件に合う人物を知っている』と彼に伝えました。そのアーティストこそJohnny Gillです。彼は『わぁ、Johnny Gillか。全然思いつかなかったな。彼は今何をしてるんだろう?』と言ってきたので、『彼はまだ歌っていて、あなたが探している人物としてJohnnyが相応しい理由は、歌が上手いと言う理由だけでなく、彼はまだ若いということです』と伝えました。そしたらJheryl Busbyは『それならいいね。だったらJohnnyと契約したら、君達はプロデュースしてくれるんだね?』と彼は言って来たので、私達は言いました。「もちろん、やりたいですよ」

この時点では、Jheryl Busbyが新しい男性アーティストを探していると言うだけの段階で、Johnny GillがNew Editionに加入するとかしないとか、まだそういうアイデアが全く出ていない状態。


しかし、このミーティング後にJimmy JamはコンサートでJohnny Gillに会い、Johnny Gill本人からいきなり「あること」を言われたとのこと。

「コンサートでJohnnyに出会った際、彼は私達に声をかけてきたので、私達も彼の近況を尋ねました。そして私は『君と一緒に仕事をするのを楽しみにしている』と伝えました。すると彼は『えぇ、New Editionのアルバムで一緒に仕事するのは素晴らしいことさ』と言ってきたので、私達は『New Editionのレコード?』と聞き返しました。彼は『うん。俺もグループの一員になったんだ』と言ってきたので、私達はJheryl Busbyに電話をかけて、『New Editionのことですが、一体どうなっているんでしょうか?』と尋ねました。そしたら彼は『素晴らしいでしょ!JohnnyをNew Editionに入れたから、これで君達もグループと一緒に仕事ができるよ』と言いました。私達はNew Editionの大ファンだったので、これは素晴らしいことでした。私は、クラブでNew Editionの"Candy Girl"を始めて聴き、DJに『これは誰の曲?』と尋ね、この時にNew Editionというグループを知り、この時から彼らのサウンドが大好きでした。私は若い頃、音楽をプロデュースしながらDJをしていたので、Maurice Starr(New Edition生みの親)という名前を認識していました。なぜなら、Maurice Starrは私が本当に好きな楽曲ばかりをリリースしていたからです」

Candy Girl

New Edition

Jam & LewisはJohnny Gillとの仕事を熱望しており、更に大ファンだったというNew EditionのメンバーにJohnny Gillが加わったことにより、一挙に望みが叶ったわけですが、一つ懸念していたのが「Johnny GillとNew Editionの既存のメンバーとの調和」


Johnny GillがNew Editionに加わると決まった際、既存の4人のメンバーは意見が2つに分かれており、しかしJohnny Gillのある一言でグループ全体が歓迎ムードになったとのこと。

「曲のコンセプトを考える前に、まずNew Editionのメンバー達とミーティングを行いました。レコードを制作する上で最大の障害は、曲作りのプロセスではなく、『メンバー全員が心理的に同じ状態でいられるか』ということでした。ミーティングを行った時点で、グループの間には潜在的な緊張があると聞いていました。2人のメンバーがJohnnyをグループに入れることを支持し、一方他の2人は反対の意見だったと知りました。私達はみんなに話し合ってもらい、グループに対するビジョンを理解してもらいたかったです。そこで、私はみんなの前で言いました。『Johnny, 私達はこのグループをRalphのグループだと感じています。彼がリード・ボーカルを担当し、あなたにリードを歌ってもらう予定はありません。どう思いますか?』と。そしてJohnnyは言いました。『ねぇ、俺はチーム・プレーヤーだよ。必要なことは何でもやるさ。Ralphのグループだと理解しているし、それで何も問題ないさ。彼らは何年も一緒にやってるんだし、彼らがやっていることを変えようとはしてないよ。俺はみんなのやることをサポートするためにここにいるんだ』」


「"Boys to Men"は、Johnnyの曲であるべきだと感じました」


Johnny Gillの発言がきっかけで、5人の新体制となった新生New Editionは、アルバム『Heart Break』の制作を本格的にスタートさせ、このアルバムのラストに収録されたのが"Boys to Men"。


曲名通り「New Editionのメンバーが少年から青年へと成長する旅」を歌った内容で、歌詞はTerry Lewisが書いたもの。


Jimmy Jamはこの曲はJohnny Gillの曲であるべきだと感じましたと語っており、アルバムの最後にこの曲を収録したのも、戦略的な意図があってのこと。


と言うのも、人気グループNew Editionに新加入するJohnny Gillを、ファン達にどのように紹介するかが、このアルバムの最大の課題だと感じていたJimmy Jamはあるアイデアを考案し、それが「Johnny Gillのボーカルを小出しにする」という計画。


ファースト・シングル"If It Isn't Love"ではJohnny Gillにほとんど歌わせず、続くセカンド・シングル"You're Not Kind of My Girl"ではJohnny Gillのボーカルを少し際立たせ、そしてサード・シングル"Can You Stand the Rain"ではRalph Tresvantとデュエット形式にするなど、リリースを重ねるごとにJohnny Gillが歌うパートを増やしていき、そしてアルバム最後の"Boys to Men"でJohnny Gillをメイン・ボーカルに起用して、フィナーレで大々的にJohnny Gillを迎えるという流れ。


しかし、既述のようにJohnny Gillはこの曲を好んでおらず、当時の様子をJimmy Jamは次のようにコメント。

「私達は、Johnnyが第3者的視点から歌い、そして今やグループの一員としての視点から歌うことができると思いました。"Boys to Men"が、このアルバムにおいて彼のショーケースになると感じ、メンバー全員も賛成しました。ですが、私達がこの曲を制作し、Johnnyにこのコンセプトを伝えたところ、彼は『気に入らない』と言いましたが、私達は彼に挑戦してみるよう伝えました。当時は、アルバムのコンセプトが重要であり、まだアルバムの曲順に従っている時期だったので、私達はこの曲がアルバムの中で重要な役割を果たす可能性があると思いました。そして彼はこの曲を歌い、それは本当に素晴らしかったです。彼がこの曲を好んでいなくても、彼はマイクの前に立つと常に最善を尽くしてくれます。New Editionのメンバーがスタジオに入ってこの曲を聴いた時、彼らはJohnnyが素晴らしい仕事をしていると思いました。メンバーがバック・ボーカルをレコーディングした後、ジョニーはこの曲を本当に理解し始め、Johnnyは再びボーカルをレコーディングし、その出来は更に素晴らしいものになりました」

「俺はチーム・プレイヤーだ」と言いつつも、若干個人プレーに走り気味だったJohnny Gillは、レコーディングの際、一度に2語以上の単語を覚えられなかったらしく、Johnny Gillの前に歌詞を置いても歌詞に集中せず、単語だけ覚えるようにと、Jimmy Jamはアドバイス。


しかし、流石は当代随一の実力を持ったボーカリストだけあり、Johnny Gillは全てのパートを、最初のたった1回のレコーディングで完璧に歌い上げてしまったとのこと。


Heart Break

New Edition




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