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  • 執筆者の写真R&B SOURCE編集部

Mary J. Blige|デビュー作『What's the 411?』の質を高める為にパフィが行った「ある戦略計画」に、プロデューサーも脱帽。「彼は天才的だった」


Mary J. Bligeのデビュー作『What's the 411?』の質を高める為に行われたある計画とは?

『What's the 411?』の質を高める為に行われた「ある戦略計画」とは?


ヒップホップとR&Bという2つのジャンルを組み合わせた「ヒップホップ・ソウル」という新しいスタイルを提唱し、「ヒップホップ・ソウルの女王」としてのストーリーが始まったMary J. Bligeのデビュー・アルバム『What's the 411?』


What's the 411?

Mary J. Blige

アルバム名に記された「411」という数字は、米国向けの電話番号案内サービス「GOOG-411」を指しており(日本でいうNTT提供の「104」のようなもので、米Google社が提供していた米国向けの電話番号案内サービス。2010年11月にサービス終了)、デビュー前にMary J. Bligeはここで電話オペレーターとして働いていたことがアルバム名の由来。


これまでに350万枚以上のセールスを記録してトリプル・プラチナを達成し、また2020年に「Rolling Stone」が選ぶ「史上最も偉大なアルバム500」のリストで271位にランクインするなど、R&Bというジャンルを飛び越えて音楽史にその名を刻む歴史的名盤になった『What's the 411?』


そんなMary J. Bligeのデビューを大成功させた立役者と言えば、彼女の総合プロデュースを行なっていたSean "Puffy" Combsで、彼はこのアルバムの質をより高める為に、ある戦略を用いてアルバムの制作を行ったとの事で、『What's the 411?』の制作に参加したプロデューサーDave "Jam" Hallが、「Ebony」のインタビューで当時の様子を次のようにコメント。

「当時の俺は、シーンで頭角を現そうと奮闘していた若いプロデューサーだった。俺はHeavy D & The BoyzのプロデューサーだったEddie Fに面倒を見てもらっていたんだけど、俺達はみんなニューヨーク州マウントバーノン出身で、高校時代から知り合いだったから、みんなPuffyを知っていた。PuffyがMary J. Bligeのプロジェクトに取り組んでいたとき、彼はEddie Fと俺のところにやってきて、Maryの為に新しいタイプのサウンドを探していると言ってきたんだ。当時はニュー・ジャック・スウィングが主流だったけど、彼から『Maryにはもう少し荒々しくて、より都会的な雰囲気が必要なんだ』と言われた。この時、俺はヒップホップのビートとR&Bのコード進行を組み合わせる実験をしていたんだけど、このサウンドがなかなか受け入れてもらえなくて、あまり進展が無かったんだ。そしてある日、俺はEddie Fの車の後部座席にいて、Puffyが助手席に座り、俺は自分が作ったトラックを車で再生した。そしたらPuffyは言ったんだ。『正にこれが俺の求めているものだ!これがMary J. Bligeというアーティストのために必要な新しい方向性だ』ってね。これで俺はMaryのプロジェクトに参加することになった」

そして"Real Love"を手がけたCory Rooneyは次のようにコメント。

「Puffyは『アルバムを半分に分ける』ということをやったんだ。彼はニュージャージー州でThe Untouchables(Dave "Jam" Hallが在籍していたプロデューサー集団)と一緒にいて、彼らが作った音源の一部を俺達に聴かせて、俺達を興奮させた。彼はもう1つプロデューサー・チームが作ったレコードを聴かせて、他のチームを刺激させたんだ。これが、友好的な競争を生むことになった。このプロジェクトの中心にPuffyがいて、実際に彼のやり方は天才的だったよ。彼は俺達に、Daveらが作った"Reminisce"を聴かせてくれた日を覚えている。それを聴いた俺達は『ちくしょう!』って言ったよ(笑) 俺達はDaveらを翻弄していると思っていたけど、俺達に"Reminisce"を聴かせたPuffyは、スタジオの中でハイテンションで踊っていたんだ。そして、俺達は"Changes I’ve Been Going Through"という曲を制作して反撃したんだ。でも、これらのやり取りには全てに愛があり、本当にやりがいのあるプロジェクトだったんだ。Puffyは本当に俺達を鼓舞してくれたよ」

Reminisce

Mary J. Blige



「自分のままでいたくなった」


『What's the 411?』に収録されたのは以下の12曲で、"You Remind Me"を手がけたDave "Jam" Hallらのチームが計4曲、"Real Love"を手がけたCory RooneyとMark Moralesのチームが計4曲を手がけ、彼らを意図的に競わせてアルバムを作り上げていったSean "Puffy" Combs。


1. Leave a Message

Prod by Sean "Puffy" Combs, Tony Dofat


2. Reminisce

Prod by Dave "Jam" Hall, Sean "Puffy" Combs


3. Real Love

Prod by Mark Morales, Cory Rooney


4. You Remind Me

Prod by Dave "Jam" Hall


5. Intro Talk

Prod by Sean "Puffy" Combs, Tony Dofat


6. Sweet Thing

Prod by Mark Morales, Cory Rooney


7. Love No Limit

Prod by Dave "Jam" Hall


8. I Don't Want to Do Anything feat. K-Ci

Prod by DeVante Swing


9. Slow Down

Prod by Mark Morales, Cory Rooney


10. My Love

Prod by Dave "Jam" Hall


11. Changes I've Been Going Through

Prod by Sean "Puffy" Combs, Mark Morales, Cory Rooney


12. What's the 411? feat. Grand Puba

Prod by Sean "Puffy" Combs, Tony Dofat


Sean "Puffy" Combsの狙いは見事的中し、『What's the 411?』は全米アルバム・チャート最高6位という大ヒットを記録、そしてこのアルバムからは以下の5曲がシングル・リリースされ、どちらの陣営が手がけた楽曲も甲乙つけがたい結果を残すことに。


Prod by Dave "Jam" Hall

Reminisce

全米シングル・チャート|最高57位

全米R&Bシングル・チャート|最高6位


You Remind Me

全米シングル・チャート|最高29位

全米R&Bシングル・チャート|1位


Love No Limit

全米シングル・チャート|最高44位

全米R&Bシングル・チャート|最高5位


Prod by Mark Morales, Cory Rooney

Real Love

全米シングル・チャート|最高7位

全米R&Bシングル・チャート|1位


Sweet Thing

全米シングル・チャート|最高28位

全米R&Bシングル・チャート|最高11位


『What's the 411?』が大成功を収めた要因はサウンド面のみならず、「ゲットー・ファビュラス」と呼ばれた、黒人らしいソウルフルで派手なファッションを取り入れるなど、ライフスタイルの面でも革新的な要素が含まれていたことも大きく、この「既存のあらゆる概念を壊す」という点に多くの女性が共感し、あのAlicia Keysも『What's the 411?』に強い影響を受けた1人。


Amazon Prime Videoのドキュメンタリー「Mary J. Blige's My Life」内で、Alicia Keysは次のようにコメント。

「自分でいることに居心地のよさを感じた。不完全な部分があったり、強い意見を持っていても、ありのままの自分でいていいと思えたことが嬉しかった。自分のままでいたくなった。私たちも夢を持てるし、特別な存在になれると思えた。そんな風に思える機会は少ないの。当時13歳だった私は、必要としていた許可をもらった気分だった」

そんなAlicia Keysは、自身のデビュー10周年を記念して行われたライブ「Piano & I: A One Night Only Event With Alicia Keys」にて、Mary J. Blige"Real Love"のカバー曲を披露するなど、デビュー後もMary J. Bligeへ敬意を表し続けています。


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