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執筆者の写真R&B SOURCE編集部

Mary J. Blige|"Real Love"の制作時に、コリー・ルーニーとパフィが激突。「お前狂ってるのか?変えるな」

更新日:10月30日


mary j blige real love サンプリング

Mary J. Bligeに会う2年前に書かれていたという"Real Love"


ヒップホップ特有の重厚なビートの上に、R&B/ソウルのボーカルを加えた、'90年代生まれのR&Bジャンル「ヒップホップ・ソウル」


このサウンドを一躍世に広めたのが、「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」の称号を与えられたMary J. Bligeで、彼女の代表曲の1つ"Real Love"こそ「ヒップホップ・ソウルの起源」と言っても過言ではない歴史的な1曲。


この曲をプロデュースしたのが、Prince Markie Dee名義でラッパーとして活動していたMark Moralesと、後にJennifer Lopezの"All I Have feat. LL Cool J"、"Love Don't Cost a Thing"などを手がけるCory Rooneyの2人で、実はMary J. Bligeに会う2年前に書いた曲だったと、Cory Rooneyが「Ebony」のインタビューにてコメント。

「当時、俺とMarkはFather MCの制作をしていて、他にも[Uptown Records]の仕事をいくつか請け負っていたんだ。あの頃は[Uptown Records]がみんなのたまり場になっていて、朝起きたら『よし、[Uptown]行こう』っていう感じだったよ。ある日、[Uptown Records]のA&RだったKurt Woodleyから、Jeff Reddを介してMary J. Bligeを紹介された。彼らは俺達の助けが必要だと言ってきて、Maryを俺達の家に連れてきたんだけど、俺達は既にいくつかの曲を書いていたんだ。その中の1つが"Real Love"で、この曲は彼女に会う2年前に書いた曲だよ。これが全ての始まりさ」

Real Love

Mary J. Blige



「お前狂ってるのか?変えるな」


"Real Love"がヒップホップ・ソウルと呼ばれた所以は、この曲が'80年代に活躍したヒップホップ・ユニットAudio Twoの"Top Billin'"のビートをサンプリングしたことが大きく、これはプロデューサーのCory RooneyとMark Moralesのアイデア。


しかし、当のCory Rooneyとしては、あくまで試験的に"Top Billin'"をサンプリングしたに過ぎなかったようで、「"Real Love"を正式にリリースするならビートを作り替えたい」と考えていたものの、これに真っ向から反対したのが、Mary J. Bligeの総合プロデュースを行なっていたSean "Puffy" Combs。

「俺はPuffyに、サンプリングを取り除いて、ビートを作り直したいと伝えたんだ。そしたら彼は『ダメだ、ダメだ、ダメだ!』と言ってきた。俺は自分でドラムを作れるのに、自分の出版権をAudio Twoに渡すつもりはないと伝えたら、『それがこのレコードを素晴らしいものにするんだ。これがヒップホップにするんだ。お前狂ってるのか?変えるな』と言われたんだ。もちろん俺はこの場で引き下がるつもりは無かったけど、俺のパートナーであるMarkはPuffy側についてしまった。だから俺はスタジオを出て、『あの馬鹿げた曲に俺の名前を付けるな』と言った。でも、彼らが俺に注意を払わなかったことに感謝しているよ(笑)。
Markはヒップホップ・ユニットThe Fat Boysのメンバーで、R&Bの歌詞を書いたことが無いラッパーだった。彼は部屋の反対側に座り、メモとペンを持って歌詞を書き始め、突然俺のもとにやってきて『笑わないで』と言ってきた。Markは俺が作業していた楽曲に歌詞を書いており、俺は笑うつもりは無いと伝えたら、彼は"Real Love"の最初の4行を歌い始めたんだ。それはほとんどラップのようだったけど、俺は『最高だ』と言った。その後にメロディをつけてブリッジを追加し、この作業はとても速くまとまったよ」


"Real Love"をサンプリングするアーティスト達


結果的にSean "Puffy" Combsの狙いが的中し、"Real Love"は全米シングル・チャート最高7位を記録、'92年のビルボード年間シングル・チャートでも85位にランクインし、また、「Rolling Stone」が選ぶ「歴代最高の500曲」の第372位に選出されるなど、正に時代を創った'90年代R&Bの名曲中の名曲。


Billboard Year-End Hot 100 singles of 1992

1. End of the Road - Boyz Ⅱ Men

81. Take This Heart - Richard Marx

82. When I Look Into Your Eyes - FireHouse

83. I Wanna Love You - Jade

84. Uhh Ahh - Boyz II Men

85. Real Love - Mary J. Blige

86. Justified and Ancient - The KLF

87. Slow Motion - Color Me Badd

88. What About Your Friends - TLC

89. Thinkin' Back - Color Me Badd

90. Would I Lie to You? - Charles & Eddie


プロデューサーのCory Rooneyが、"Real Love"をレコーディングした時の様子を、「Ebony」のインタビューにて次のようにコメント。

「Maryはストリート出身の女性であり、ストリート出身の全ての女性の痛みを歌う存在だった。当時の彼女は、業界の多くの人間に利用されていた。だから"Real Love"のような曲が彼女の状況を表現してたんだ。 ある日、彼女は目に涙を浮かべて『一度だけでもいいから本物の愛を手に入れたい』と言ってきた。あの時の彼女は非常に感情的で、レコーディングの途中にボーカル・ブースから何も聴こえなくなることもあり、彼女がその場からいなくなったのでは無いかと思うほどだった。それだけ彼女の感情があらゆる制御を奪ってしまったんだけど、このレコードが彼女にとって本物の人生のレコードになり始めたと思う」

「本物の愛を探している。


私の心を自由にしてくれる誰かを。


どこを探したらいいのか分からない。


世界中探したけど、まだ分からない。


本物の愛って、どんな感じがするのか、どこにも無いから分からない。


でも見つけてみせる」


そんなMary J. Bligeの魂の叫びを歌った"Real Love"は、これまでに数多くのアーティスト達をも魅了しており、Mary J. Bligeに影響を受けたアーティスト達が、"Real Love"にオマージュを捧げた楽曲を発表しています。


ちなみに、後に発表されたリミックス・バージョンにはデビュー前のThe Notorious B.I.G.が参加しており(この時の名義はBig E. Smalls)、このリミックスがThe Notorious B.I.G.の知名度アップに貢献することにもなりました。


Mary J. Blige

Real Love (Hip-Hop Club Mix) feat. Big E. Smalls

 

Jonn Hart

Friendzone


Ariana Grande

Lovin' It


Anitta

Amor Real



Romeo

It's All Gravy feat. Christina Milian


Toby Lightman

Real Love


Asake, Ludamilla

Whine




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