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  • 執筆者の写真R&B SOURCE編集部

Mary J. Blige|"Real Love"の制作時に、コリー・ルーニーとパフィが激突。「お前狂ってるのか?変えるな」

更新日:8月7日


mary j blige real love サンプリング

Mary J. Bligeに会う2年前に書かれていたという"Real Love"


ヒップホップ特有の重厚なビートの上に、R&B/ソウルのボーカルを加えた、'90年代生まれのR&Bジャンル「ヒップホップ・ソウル」


このサウンドを一躍世に広めたのが、「クイーン・オブ・ヒップホップ・ソウル」の称号を与えられたMary J. Bligeで、彼女の代表曲の1つ"Real Love"こそ「ヒップホップ・ソウルの起源」と言っても過言ではない歴史的な1曲。


この曲をプロデュースしたのが、Prince Markie Dee名義でラッパーとして活動していたMark Moralesと、後にJennifer Lopezの"All I Have feat. LL Cool J"、"Love Don't Cost a Thing"などを手がけるCory Rooneyの2人で、実はMary J. Bligeに会う2年前に書いた曲だったと、Cory Rooneyが「Ebony」のインタビューにてコメント。

「当時、俺とMarkはFather MCの制作をしていて、他にも[Uptown Records]の仕事をいくつか請け負っていたんだ。あの頃は[Uptown Records]がみんなのたまり場になっていて、朝起きたら『よし、[Uptown]行こう』っていう感じだったよ。ある日、[Uptown Records]のA&RだったKurt Woodleyから、Jeff Reddを介してMary J. Bligeを紹介された。彼らは俺達の助けが必要だと言ってきて、Maryを俺達の家に連れてきたんだけど、俺達は既にいくつかの曲を書いていたんだ。その中の1つが"Real Love"で、この曲は彼女に会う2年前に書いた曲だよ。これが全ての始まりさ」

Real Love

Mary J. Blige



「お前狂ってるのか?変えるな」


"Real Love"がヒップホップ・ソウルと呼ばれた所以は、この曲が'80年代に活躍したヒップホップ・ユニットAudio Twoの"Top Billin'"のビートをサンプリングしたことが大きく、これはプロデューサーのCory RooneyとMark Moralesのアイデア。


しかし、当のCory Rooneyとしては、あくまで試験的に"Top Billin'"をサンプリングしたに過ぎなかったようで、「"Real Love"を正式にリリースするならビートを作り替えたい」と考えていたものの、これに真っ向から反対したのが、Mary J. Bligeの総合プロデュースを行なっていたSean "Puffy" Combs。

「俺はPuffyに、サンプリングを取り除いて、ビートを作り直したいと伝えたんだ。そしたら彼は『ダメだ、ダメだ、ダメだ!』と言ってきた。俺は自分でドラムを作れるのに、自分の出版権をAudio Twoに渡すつもりはないと伝えたら、『それがこのレコードを素晴らしいものにするんだ。これがヒップホップにするんだ。お前狂ってるのか?変えるな』と言われたんだ。もちろん俺はこの場で引き下がるつもりは無かったけど、俺のパートナーであるMarkはPuffy側についてしまった。だから俺はスタジオを出て、『あの馬鹿げた曲に俺の名前を付けるな』と言った。でも、彼らが俺に注意を払わなかったことに感謝しているよ(笑)。
Markはヒップホップ・ユニットThe Fat Boysのメンバーで、R&Bの歌詞を書いたことが無いラッパーだった。彼は部屋の反対側に座り、メモとペンを持って歌詞を書き始め、突然俺のもとにやってきて『笑わないで』と言ってきた。Markは俺が作業していた楽曲に歌詞を書いており、俺は笑うつもりは無いと伝えたら、彼は"Real Love"の最初の4行を歌い始めたんだ。それはほとんどラップのようだったけど、俺は『最高だ』と言った。その後にメロディをつけてブリッジを追加し、この作業はとても速くまとまったよ」


"Real Love"をサンプリングするアーティスト達


結果的にSean "Puffy" Combsの狙いが的中し、"Real Love"は全米シングル・チャート最高7位を記録、'92年のビルボード年間シングル・チャートでも85位にランクインし、また、「Rolling Stone」が選ぶ「歴代最高の500曲」の第372位に選出されるなど、正に時代を創った'90年代R&Bの名曲中の名曲。


Billboard Year-End Hot 100 singles of 1992

1. End of the Road - Boyz Ⅱ Men

81. Take This Heart - Richard Marx

82. When I Look Into Your Eyes - FireHouse

83. I Wanna Love You - Jade

84. Uhh Ahh - Boyz II Men

85. Real Love - Mary J. Blige

86. Justified and Ancient - The KLF

87. Slow Motion - Color Me Badd

88. What About Your Friends - TLC

89. Thinkin' Back - Color Me Badd

90. Would I Lie to You? - Charles & Eddie


プロデューサーのCory Rooneyが、"Real Love"をレコーディングした時の様子を、「Ebony」のインタビューにて次のようにコメント。

「Maryはストリート出身の女性であり、ストリート出身の全ての女性の痛みを歌う存在だった。当時の彼女は、業界の多くの人間に利用されていた。だから"Real Love"のような曲が彼女の状況を表現してたんだ。 ある日、彼女は目に涙を浮かべて『一度だけでもいいから本物の愛を手に入れたい』と言ってきた。あの時の彼女は非常に感情的で、レコーディングの途中にボーカル・ブースから何も聴こえなくなることもあり、彼女がその場からいなくなったのでは無いかと思うほどだった。それだけ彼女の感情があらゆる制御を奪ってしまったんだけど、このレコードが彼女にとって本物の人生のレコードになり始めたと思う」

「本物の愛を探している。


私の心を自由にしてくれる誰かを。


どこを探したらいいのか分からない。


世界中探したけど、まだ分からない。


本物の愛って、どんな感じがするのか、どこにも無いから分からない。


でも見つけてみせる」


そんなMary J. Bligeの魂の叫びを歌った"Real Love"は、これまでに数多くのアーティスト達をも魅了しており、Mary J. Bligeに影響を受けたアーティスト達が、"Real Love"にオマージュを捧げた楽曲を発表しています。


ちなみに、後に発表されたリミックス・バージョンにはデビュー前のThe Notorious B.I.G.が参加しており(この時の名義はBig E. Smalls)、このリミックスがThe Notorious B.I.G.の知名度アップに貢献することにもなりました。


Mary J. Blige

Real Love (Hip-Hop Club Mix) feat. Big E. Smalls

 

Jonn Hart

Friendzone


Ariana Grande

Lovin' It


Anitta

Amor Real



Romeo

It's All Gravy feat. Christina Milian


Toby Lightman

Real Love


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