'90年代R&Bスロウの傑作"My My My"
'83年にアルバム『Johnny Gill』でソロ・デビューし、後に加入したNew Editionでの成功を経て、デビュー・アルバムと同タイトル名の『Johnny Gill』を'90年に発表したJohnny Gill。
全米アルバム・チャート最高8位を記録し、Johnny Gillの最高傑作となったこの'90年リリースの『Johnny Gill』に収録されたのが、'90年代を代表するスロウ・ジャムとしてお馴染みの"My My My"。
Johnny Gill
Johnny Gill
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BabyfaceとL.A. Reidがプロデュースを担当した"My My My"ですが、この曲は元々Babyface自身が歌う予定だった曲で、Babyfaceは「Billboard Magazine」のインタビューにて「元々は自分用の曲として作ったものの、Johnnyが彼の歌に変えた」とコメント。
「赤いドレスを着て、そしてハイヒールを履いて、 そして甘い香水をつけて。
それは君に似合うから。
口紅を塗って、髪を全て下ろして。
君が全てをやり終える頃、僕は君に見せるつもりだよ。
今夜が特別な夜だってことを、僕らはどこへ行っても平気さ」
天才ボーカリストの名を欲しいままにしたJohnny Gillが、ロマンティックな愛を熱唱した"My My My"は、After 7がバックボーカルを担当し、サックス奏者のKenny Gが参加する豪華な演出も話題となり、全米シングル・チャート最高10位、全米ブラック・シングル・チャート1位を記録する大ヒット。
しかし、当のJohnny Gill本人は、当初"My My My"が好きじゃなかったと激白。
「俺にはこの曲が分からない」
My My My
Johnny Gill
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「この曲が偉大になるなんて少しも思わなかった」
Bobby Brown脱退後の'88年に発表されたアルバム『Heart Break』から、New Editionのメンバーに加わったJohnny Gill。
この『Heart Break』は、Janet Jacksonが'86年にリリースしたアルバム『Control』のメイン・プロデュースを担当し、同アルバムを全米アルバム・チャート1位という大成功に導いたプロデューサー・デュオJam & Lewisが全面制作したアルバム。
Heart Break
New Edition
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Johnny Gill加入後の新生New Editionのアルバム『Heart Break』は、全米アルバム・チャート最高12位という堂々の結果を残すも、この作品をリリースした後にNew Editionは一時活動停止となり、このタイミングで[Motown Records]とソロ契約を結んだJohnny Gillは、Jam & Lewisを迎え入れてソロ・アルバムを制作。
そして、Jam & Lewisの他にJohnny Gillのアルバム制作に参加したのが、Bobby Brown, After 7, Whitney Houston, Karyn Whiteらに提供した楽曲が軒並みヒットを記録し、Jam & Lewisと同じく'80年代後期にヒットメイカーの仲間入りを果たしたBabyfaceとL.A. Reidのタッグ。
当時最も勢いがあったBabyfaceとL.A. Reidが、Johnny Gillに提供した渾身のスロウ・ジャム"My My My"でしたが、Johnny Gillは当初この曲に疑問を抱いていたと、過去の「Billboard」のインタビューにコメント。
「"My My My"を初めて聴いた時、俺はこの曲をJimmy JamとTerry Lewisに聴かせた。そして俺は言ったんだ、『俺にはこの曲が分からない』って。Jam & LewisやBabyfaceのようなプロデューサーと仕事をする時、彼らがこれまでに作ったヒット曲に近いサウンドを提供してくれるんじゃないかって、いつも期待している。でも、与えられた曲が思っていたような雰囲気じゃなかったら、『ちくしょう、彼らは俺に最高の曲をくれなかった』と思うはずさ。でも、彼らがこれほど成功しているのは、すべての人に独自のスタイルと独自のサウンドを作成して提供することなんだ。それが彼らのやり方だとは、当時は全く気が付かなかったよ」
また「EBONY」のインタビューにて、「俺は"My My My"が本当に好きじゃなかった。この曲が偉大になるなんて全く思わなかった」と語っているJohnny Gill。
Bobby Brownが歌った"Every Little Step"もBobby本人は好んでおらず、またBoyz Ⅱ Menの"End of the Road"もリリース前はメンバーから嫌われていたりと、後にどれだけ偉大になる曲であっても、制作の段階では歌い手から好かれないということは多かれ少なかれ耳にする話。
しかし、"My My My"を通じてBabyfaceとL.A. Reidの成功パターンを目の当たりにしたJohnny Gillは、「これが俺にアイデンティティを与えてくれた曲で、とても感謝している」と、同じく「EBONY」のインタビューにコメント。
ちなみに曲名の"My My My"は、ゴスペル・ユニットThe WinansのメンバーMarvin Winansが、歌い始めに"My, My, My, My, My..."と歌い出す音の響きが心地良く聴こえ、この曲をヒントに曲名を"My My My"にしたとBabyfaceは語っています。