グラミー賞にもノミネートされたCity High
Lauryn Hillと共にThe Fugeesのメンバーとして活躍したWyclef Jeanが手がけた、男女混合ユニットCity Highが2001年にリリースしたデビュー・シングル"What Would You Do?"。
前年にDr. Dreが発表したシングル"Next Episode feat. Snoop Dogg"をサンプリングしたアプローチが話題作りに成功した結果、全米シングル・チャート最高8位を記録し、また第44回グラミー賞「Best R&B Performance By A Duo Or Group With Vocal」にノミネートされるなど、彗星の如く登場した新人グループCity Highは、この1曲で一躍脚光を浴びることに。
What Would You Do?
City High
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"What Would You Do?"が大成功した彼らは、続くセカンド・シングル"Caramel"で女性ラッパーEveを迎えた結果、全米シングル・チャート最高18位を記録し、この曲も見事に成功。
Caramel feat. Eve
City High
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City Highを成功に導いたこれらのシングルは、彼らのデビュー・アルバム『City High』に収録され、同アルバムは100万枚に迫るセールスを記録してゴールド・ディスクを獲得し、全米アルバム・チャート最高34位を記録。
新人のアーティストがこれだけの結果を残せたのであれば、レーベルや関係者は間違いなくセカンド・アルバムのリリースを視野に入れていたことは想像に難くなく、しかしCity Highが残したアルバムはデビュー作の1枚のみで、約4年間という短い期間の活動後、彼らは早々に解散。
この件について口を開いたのが、City Highの女性ボーカリストClaudette Ortizで、彼女は「DimeWars」のインタビューにて次のようにコメント。
「アルバムが完成する前に別れたわ」
デビュー前に崩壊寸前だったCity High
City Highのメンバーは以下の3人。
・Ryan Toby (シンガー/ソングライター/プロデューサー)
・Claudette Ortiz (女性シンガー)
・Robbie Pardlo (シンガー/プロデューサー)
Robbie PardloとClaudette Ortizの2人は、高校時代の恋人関係でもあり、既にシンガーとして活動していた2人が、Wyclef Jeanの自宅で開催されたというBBQパーティーで披露したパフォーマンスが評価され、Wyclef Jeanが[Interscope Records]内に立ち上げた新レーベル「Booga Basement」と契約したことが、City High誕生のきっかけ。
この時「Booga Basement」と契約したのはRobbie Pardloのみで、その後Robbie Pardloと同じ高校に通っていたRyan Tobyが加わることに。
彼は、Whoopi Goldberg主演映画「Sister Act 2: Back in the Habit」に役者として出演した後、DJ Jazzy Jeffのプロダクション[A Touch of Jazz]とアーティスト契約し、DJ Jazzy Jeffの繋がりでWill Smithのデビュー・ソロ・アルバム『Big Willie Style』からのシングル曲"Miami"などを手がけるなど、若くして多彩な才能を発揮してきたマルチ・アーティストで、この時点では、City HighはRobbie PardloとRyan Tobyの2人による男性デュオとして始動する予定だったとのこと。
当時の様子を、Ryan Tobyは「YouKnowIGotSoul.com」のインタビューにて次のようにコメント。
「俺が役者をやっていた頃の元マネージャーMarvin Thompsonと偶然会って、その時に彼は『若い才能を発掘した』と教えてくれた。それがRobbieだったんだけど、俺とRobbieは同じ高校出身で、彼は俺より2つ年下。高校時代のことを覚えていたよ。RobbieはちょうどWyclefのレーベルと契約して、MarvinからRobbieのプロジェクトのために作詞を手伝ってほしいと言われた。そのタイミングでRobbieと繋がったんだけど、ある日RobbieがWhitney Houstonの"My Love is Your Love"のボーカルを録るためにスタジオに行くというから、俺も一緒に行ったんだ。そしたらスタジオにWyclefが来て、『Sister Act 2: Back in the Habit』でLauryn Hillと一緒に出演した俺を覚えていてくれて、彼は興奮していたよ。それで全ての点が繋がった。Wyclefは、俺とRobbieには特別なケミストリーがあると言って、チームに加わるように提案してくれた。 当時、俺はJazzy Jeffとの契約が切れていて、どこにも所属していなかったからお金も必要だった。Wyclefは俺達を『第2のK-Ci & JoJo』にできると考えていたんだ。そしてCity Highはデュオとしてスタートした」
My Love Is Your Love
Whitney Houston
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City Highが男性デュオとしてデビューしなかった理由は、当時Wyclef JeanがサポートしていたThe Product G&Bという別の男性デュオがいたからであり、その後Wyclef Jeanが惚れ込んだという女性ボーカリストClaudette Ortizに白羽の矢が立ち、当初はまだ彼女が高校生だったことからいくつかの曲でフューチャリングされる程度に考えれられていたものの、City Highのイメージは「第2のFugees」へと切り替えられ、男女混合の3人編成で正式にデビューすることに。
しかし、City Highはデビュー前の時点ですでに崩壊寸前の状態に陥っており、その原因が高校時代から恋人関係だったRobbie PardloとClaudette Ortizのいざこざ。
2人の関係は交際当初から決して順調だったとは言えなかったようで、Claudette Ortiz「DimeWars」のインタビューにてRobbie Pardloとの関係を次のようにコメント。
「RobbieとはCity High結成前に出会った。最初は友達としてスタートして、お互い歌手だったから、同じ知り合いもいたわ。私の姉と彼は同じ学年で、姉もRobbieを知っていた。でも彼と付き合い始めたとき、姉から『本当に彼と付き合うつもり?』と言われて、私はその意味を尋ねると、Robbieは当時から酒癖が酷いと教えてくれた。彼が飲酒することは知っていたけど、私は彼のそんな姿を見たことが無かったの。彼は私の初めてのボーイフレンドで、当時私は16歳で彼は18歳。最初は普通の10代のカップルだったけど、時間が経つにつれて、私達の関係は悪夢のようなものになっていった。彼が他の子と浮気していることを知った時が始まり。それでも私は別れなかった。浮気の嘘を信じてしまうという経験は、女性なら誰もが共感できると思う。目の前に明らかな証拠があっても信じちゃったの。それが後々の問題を引き起こすことになっちゃうんだけど、彼との関係を本気で終わらせたいと思ったのは、酒乱による彼の暴力。 私が17歳になる夏、Wyclefが彼の自宅でBBQパーティーを開いて、そこには音楽業界の人達がたくさん集まっていたわ。何がきっかけだったかは正確には覚えていないんだけど、BBQパーティーの場でRobbieが突然私に怒鳴り出したの。私の顔の前で『お前なんか何の価値もない、これからも何の価値もない』と言い続けたわ。Robbieは体格が大きく、その時の私の年齢では、彼の態度はとても恐ろしくて、そして大勢の大事な人達の前で見下されるのは屈辱的だったわ。それとは別の日に、彼にある女性のことを問い詰めたとき、彼が私にブラシを投げつけてきた。私は屈んで避けたけど、そのブラシは彼の寝室のドアを突き破ったわ。それほどの力で投げつけてきたの。もし私が避けていなかったら、今頃生きていなかったかもね。私はRobbieの家から約2マイル離れたところに住んでいたんだけど、そのとき私は荷物をまとめて家に帰る途中だった。でもそんな揉め事はしょっちゅうで、口論したり、彼が酔いつぶれたりすると、よく家まで歩いて帰っていた。怒鳴りながら車を叩き壊し始め、ヘッドライトを壊し、ボンネットを叩き続けたこともあったわ。その時は彼の母親が出てきて、私は家に呼び戻されたんだけど、家に入ると全員で座って話し合い、彼の母は『火に油を注ぐようなことはしないほうがいい』などと言い、基本的には私に非があるような気持ちにさせられた」
これほどまでに泥沼の関係であったにも関わらず、両者の交際はCity High結成後も続き、その理由の1つが、恐らくCity Highの可能性を感じていた関係者達は、天塩にかけたこのプロジェクトがメンバーの私的な事情で企画倒れすることはなんとしても避けようと考え、Claudette Ortizに対して説得していたと思われ、事実彼女はマネージメントから「Robbieと別れるな」と言われていたとのこと。
しかし、当のClaudette Ortizは「私はあまりにも辛かった。彼と一緒にツアーに出たり、レコーディングしたりするのが耐えられなくなっていた」と当時を振り返っており、デビュー・アルバムが完成する前にRobbie Pardloと別れたとのこと。
City Highのアーティスト写真やアートワーク、そしてMVなどを見ると、Claudette OrtizとRobbie Pardloの関係性の悪さを感じるどころか、「2000年代のセックス・シンボル」として注目されたClaudette Ortizの、その眩しい笑顔が何よりも印象的で、しかしClaudette Ortizの言い分だけを考慮すると、これらの表向きのクリーンなイメージは、残念ながら作られた演出だったということに。
Claudette OrtizとRobbie Pardloは、City Highデビュー前に恋人としての関係を終わらせたものの、仕事仲間としては共に活動を続け、デビュー・アルバムの成功を受けて彼らはセカンド・アルバムを制作。
しかし、このアルバムは世に出ることなく、City Highはそのまま解散することとなり、Ryan Tobyは「YouKnowIGotSoul.com」のインタビューにて次のようにコメント。
「2枚目のアルバムをリリースする為に、実際に多くの曲をレコーディングしたよ。でも、少し制作を急いでしまったから、デビュー・アルバムのようなインパクトは出せなかった。そしてグループ内で色々と問題があり、雰囲気やケミストリーが合わなくなってしまったから、解散を決めたんだ」
City High
City High
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