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執筆者の写真R&B SOURCE編集部

Amerie|"1 Thing"のリリースを許可しなかったレーベルに対し、リッチ・ハリソンらが取った強硬手段とは?

更新日:4月28日


"1 Thing"のリリースを許可しなかったレーベルに対し、Amerieらが取った強硬手段とは?

ゴー・ゴーを本格的に取り入れた"1 Thing"


2002年に発表したデビュー・アルバム『All I Have』で、いきなり全米アルバム・チャート最高9位という大成功を収めたAmerie。


All I Have

Amerie

このアルバムに収録された全曲をプロデュースしたのが、当時まだ駆け出しだったプロデューサーのRich Harrisonで、3年後の2005年に発表されたセカンド・アルバム『Touch』も、Amerie成功の立役者であるRich Harrisonを中心に制作され、『Touch』をを制作した時の心境を、Amerieは「Okayplayer」のインタビューにて次のようにコメント。

「『All I Have』の時は、ほとんどの人が私達を知らなかった。Richは以前から他のアーティストと仕事をしていたけど、まだブレイクしていなくて、人々は彼がどれほどの才能を持っていたかを知らなかったわ。だからあまりプレッシャーを感じずに、自分達が何を望んでいるのかを考えながらレコーディングができた。でも、『Touch』のレコーディングでスタジオに入った時は、少しプレッシャーを感じた。この作品には周囲からの期待があったわ」

『Touch』を制作する前、Amerieらは何か特定のサウンドにフォーカスすることを考えていなかったものの、

2枚目のジンクスを跳ね除ける為にAmerieとRich Harrisonの2人が出した答えが、「ゴー・ゴーを革新的に取り入れる」という方法。


ゴー・ゴーとは、特定のリズム・パターンと、ライブ・オーディエンスの呼びかけと応答を重視したファンク・ミュージックのサブジャンルで、'70年代〜'80年代にかけて米ワシントンD.C.を中心に流行(AmerieもワシントンD.C.出身)


デビュー・アルバム『All I Have』に収録された"Need You Tonight"でも、ゴー・ゴーの要素をほのめかしており、しかし『Touch』ではより積極的に、そして本格的にゴー・ゴーを取り入れ、その完成系であり究極系と言える楽曲が、『Touch』からのファースト・シングルとなった"1 Thing"。


Amerieはゴー・ゴーを取り入れることに対して、次のようにコメント。

「ゴー・ゴーの曲を沢山揃える必要があるとは思っていなくて、私はアルバムが自然に流れるようにしたかったわ。レコーディングでは何が得られるか分からないの。コンセプトにこだわりすぎる結果、それで上手くいくこともあるけど、視野が狭くなることもあるから」

Touch

Amerie



レーベルは"1 Thing"のリリースを保留


ゴー・ゴーを取り入れたダイナミックなサウンドが大ウケし、"1 Thing"は全米シングル・チャート最高8位を記録し、また第48回グラミー賞「Best Female R&B Vocal Performance」にノミネートされるなど、結果的にAmerieのキャリアで最高の結果を残すことに。


1 Thing

Amerie

この曲は、Rich Harrisonがものの2〜3時間で曲を作り終え、当時のAmerieのマネージャーLen Nicholsonも"1 Thing"はシングルになることを確信していたものの、Amerieが所属していた[Columbia Records]の幹部達は、"1 Thing"に対して度重なる修正を指示し続け、AmerieとRich Harrisonはどこを変更すれば良いかが次第に分からなくなっていったとのこと。


その結果、[Columbia Records]は約半年の間"1 Thing"のリリースを保留し続け、この状況を打破する為に、AmerieとRich Harrisonはある強硬手段を取ることに。


それが、ラジオ局への音源リークでした。

AmerieとRich Harrisonは、"1 Thing"を正式にリリースする為の秘策として、世界中のラジオ局にデモ音源を送付し、"1 Thing"はリスナーから好意的な反応が相次いだ為、各ラジオ局はリリース前の"1 Thing"をヘビー・プレイ。


しかし、[Columbia Records]としては「"1 Thing"は非公式な楽曲の為、すぐにラジオのプレイリストから削除するように」という要請をするも、各ラジオ局はこの申し出を拒否し続けてプレイし続けた結果、"1 Thing"は全米シングル・チャート最高8位まで上昇し、この結果を見た[Columbia Records]はOK, 私達もこの波に乗らないとと、急に手のひらを返して"1 Thing"をプッシュし出したとのこと。


この時の様子を、Amerieは次のように回想。

「この曲を最初にレーベルの人達に聴かせた時、一部の人はこの曲を理解してくれたけど、ほとんどの人は理解していなかったわ。ラジオでヒットした後、レーベルはプロモーションに力を入れ出したけれども、もう遅かった。だから、"1 Thing"はレーベルのおかげで上手くいったというより、レーベルのせいで上手くいったという感じね」

そんなAmerieの最高傑作"1 Thing"は、女性ラッパーEveを迎えたバージョンも発表されました。


1 Thing feat. Eve

Amerie



Amerieは、Jennifer Lopezよりプライオリティが低かった?


しかしながら、この一件で最も不可思議なのは、「何故[Columbia Records]は"1 Thing"のリリースを保留し続けたのか?」という点。


記述の通り、Amerieのデビュー・アルバム『All I Have』は全米アルバム・チャート最高9位を記録し、これまでに60万枚以上のセールスを記録してゴールド・ディスクを獲得するなど、新人としては十分すぎる結果を残していることから、出来上がった楽曲に対してレーベルが修正を要望する所までは理解できるものの、半年もの間リリースを保留するのは不自然な話。


この"1 Thing"に関しては他のエピソードがあり、ここで浮上するのがJennifer Lopezの存在。


当時、Rich HarrisonはJennifer Lopezと仕事をしており、実はJennifer Lopezが"1 Thing"を欲しがっており、この曲を2005年リリースのアルバム『Rebirth』に収録したがっていたという話。


Jennifer Lopezは当時[Epic Records]に所属しており([Epic Records]も[Columbia Records]も親会社は[Sony Music])、大元である[Sony Music]としては、AmerieよりJennifer Lopezの方に高いプライオリティを置いていたのか、"1 Thing"に興味を示していたJennifer Lopezにこの曲を歌わせたいが為に、AmerieとRich Harrisonに難癖をつけ続けたのではないかという噂。


事実、Amerieに対してかけられる予算が、当時のレーベルメイト達と比較すると低かったことは事実のようで、この件に関してはAmerie本人も認識していたとのこと([Columbia Records]にはBeyonceも所属)。

しかし、結果的にラジオ局の貢献により"1 Thing"はAmerieの曲として正式に発表され、この曲を失ったJennifer Lopezには別の曲が渡されることになり、それが同じくRich Harrisonがプロデュースした"Get Right"。


この件はこれで一件落着、となるはずが、"Get Right"はRich HarrisonがUsherに提供した"Ride"という曲をベースに作られた曲で、しかもUsherに無断でこの曲をJennifer Lopezに提供してしまい、この1件でUsherとJennifer Lopezの関係が悪化してしまうことに。



Get Right

Jennifer Lopez

ちなみに、当初『Touch』からのサード・シングル"Talkin' About"のMVが制作されるはずだったものの、当時レーベルメイトのBeyonceがアルバム『B'Day』からのMVを集めたDVD『B'Day Anthology Video Album』のリリースを準備しており、この作品に予算を奪われたことにより、"Talkin' About"のMV制作の話は白紙に。


しかも、『B'Day』はゴー・ゴーの要素を取り入れた作品であったことから、Amerieの胸中穏やかでないと思いきや、彼女自身がゴー・ゴーを初めて取り入れたアーティストでは無いと認識しているようで、この件に関して負の感情は全く持っていないとのこと。


Talkin' About

Amerie



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