「年齢なんてただの数字」
若干15歳という若さでデビューし、「年齢なんてただの数字」という意味を込めた『Age Ain't Nothing But a Number』というデビュー・アルバム名がその衝撃度を増幅させた、'90年代のR&Bシーンで最も偉大な女性シンガーAaliyah。
彼女が'94年5月にアルバム・デビューした約半年後、Aaliyahと同い年のBrandyも15歳でアルバム・デビューし、翌'95年には彼女達より1つ年下のMonicaが14歳という若さでアルバム・デビューするなど、Aaliyahだけが突出して若いデビューを飾ったわけではないものの、Aaliyahにはデビュー時から他のアーティストとは一線を画するオーラと、そして15歳とは思えないほどの大人びた色気までも感じさせ、「年齢なんてただの数字」という言葉が誰よりもしっくりとハマるアーティストでした。
そんなAaliyahのデビュー・アルバムの表題曲にもなった"Age Ain't Nothing But a Number"は、Aaliyahの色気を漂わせたスロウ・ジャムで、しかしAaliyahが当時どれだけ大人びていたとしても、15歳の少女が歌う楽曲としては、歌詞の内容があまりにも過激で物議を醸すことに。
「私の手をとって、こっちに来て。
本当のエクスタシーを見せてあげるから。
勇気を出して、恐れないで。
だって今夜私達は最後までいくんだから。
大胆になるっていうことじゃないけど。
あなたに教えてあげないとね。
年齢なんてただの数字よ(Age Ain't Nothing But a Number)。
あなたへの想いは、決して変わることがないわ」
Age Ain't Nothing But a Number
Aaliyah
iTunes: https://apple.co/3rNKkTp
未成年のAaliyahと結婚を策略する為にR. Kellyが打った布石?
Aaliyahが歌った"Age Ain't Nothing But a Number"は、当時Aaliyahが交際していたシンガー/ソングライターR. Kellyのプロデュース曲で、Aaliyahのデビュー・アルバム『Age Ain't Nothing But a Number』もR. Kellyが全面プロデュースした作品。
Age Ain't Nothing But a Number
Aaliyah
iTunes: https://apple.co/3rNKkTp
この曲に対して「Washington Post」が「年上の恋人に対して、年齢差を忘れ関係を深めていこうと誘う魅惑的な懇願」と表現しているように、当時のAaliyahとR. Kellyの関係性、そして歌詞の内容をそのまま捉えれば、「恋仲だった年上のR. Kellyを、Aaliyahが性的に誘惑する曲」と解釈するのが自然。
それでもやはり、15歳の少女が歌う楽曲としては、歌詞の内容が行き過ぎていると感じざるをえなく、しかし黒人文化の中では割とポピュラーな表現だというこの「Age Ain't Nothing But a Number」という言葉を巧みに利用し、「未成年のAaliyahとの交際を正当なものに見せるように仕向けたのが、R. Kellyの本当の狙いではないか?」という噂も。
R. Kellyは、「Aaliyahとの結婚」を絶対的なゴールとして設定し、その布石としてAaliyahに"Age Ain't Nothing But a Number"を歌わせ、世間をマインド・コントロールしようとしたのではないかという話。
そしてこの曲を発表した後に、R. KellyはAaliyahの年齢を18歳と偽って婚姻届を提出するという暴挙に出るも、この届出は当然無効となり、R. KellyとAaliyahの関係性も途絶えてしまうことに。
"Age Ain't Nothing But a Number"は、Aaliyahのデビュー・アルバムから3枚目のシングルとしてリリースされ、しかしR. Kellyとの一件の影響もあってか、先にリリースされた"Back & Forth"、"At Your Best (You Are Love)"と比較すると、全米シングル・チャート最高75位と結果があまり振るわず、4枚目のシングル"Down with the Clique"は同チャートでトップ100入りならず。
全米シングル・チャート
Back & Forth
最高5位
At Your Best (You Are Love)
最高6位
Age Ain`t Nothing But a Number
最高75位
Down with the Clique
チャート外
そしてこの曲は、2018年に「USA TODAY」が発表した「現代では非常に物議を醸すであろう、政治的に不適切な20曲」のリストに、「この曲を振り返って聴くと、軽い不快感を覚えずにはいられない」という不名誉な理由で掲載されてしまうことに。